WEB デザイナーという仕事はまだ新しく、WEB デザイナーとしてどのような素養が必要なのかは、実のところ曖昧です。
私的な経験に基づく、「こんなデザイナーは使ってはいけない!」編をまとめてみます。
経営者の方は、これから述べるような傾向のある人は雇わない方が問題を避けることができます。顧客としてデザインを頼む場合は、デザイナーの過去の作品やポートフォリオをチェックするだけで、おおよそ見当がつくはずです。
また、社内で誰を Web 担当者にするかなどを考えるとも、参考になるかもしれません。
自分のことを「ウェブマスター」と呼ぶデザイナー
社内で「君がウェブマスターをやれ」と命を受けた場合を除き、エンジニアとしては「ウェブマスター」という呼ばれることはあまり心地のよいものではありません。実務では「ウェブマスター」はウェブの管理者という意味で使われるより、何の能力も無い人に無理矢理肩書きを与えた感じで受け取られ、「新入り、雑用係、初級者」という印象が強く残ります。そのため、ウェブ管理者を実質任されている人は、例えば「データベースエンジニア兼ウェブ管理者」など、本当の専門分野をまず示したいのが普通です。
この例だと、「私はデータベース専門で、ウェブの雑用もこなしている」という最低限の意味は伝わります。顧客側としては、「サイトでデータベースの障害が生じてウェブ表示に問題があるケースでは、このウェブ管理者に頼れそうだ、しかし特定のプラウザで表示が崩れるなどのデザイン上の問題なら、頼れないかも?」と判断ができます。
ウェブの表示、デザイン関係なら「Web デザイナー」とするべきです。ネット関係なら「ネットワークエンジニア兼ウェブマスター」となります。簡単にウェブマスターと肩書ってしまう人は、専門がないか、おおよそのことしかできないと公言しているようなものです。
「ウェブマスター」の本来の意味は、ネットを支配する達人というようなものですが、最近のウェブは全く違った方向へと多様化してしまい、そう名乗ったところで何ができる人なのか(Web のどの分野に精通しているのか)よくわかりません。それを誇らしげに名乗ってくる人は、ほぼ「初級者」ですので、仕事は任せない方が無難でしょう。
依頼したページに目立つクレジットを入れてくるデザイナー
デザイナー自身のポートフォリオなど、その宣伝用に制作したものを除けば、受注したページにデザイナー自身のクレジットを目立つように表示するのは御法度です。これをやってくるデザイナーは、自分の仕事を(未来の)著名芸術家のように思っている可能性があるので、扱いに困ることがあります。
とりあえず、
「クレジットはソースにコメントとして残す程度にしていただけませんか?」
と穏やかにお願いしてみて、それでもまだクレジットが目立つ(さりげなく表示させようとするデザインになっている)ようなら、さっさと手を切るのが無難です。報酬を受けながら、クライアントに納めるものを、自分の宣伝物として利用したい人だと心得ましょう。自己顕示欲が強いデザイナーだと思いますので、普通、雇い主としてはこの手の人は、能力と顕示欲がマッチしているのかも含めて再考する必要があります。
HTML 以外のもので処理しようとしすぎるデザイナー
現在の Web ページの大部分は、大本は HTML 以外のもので書かれていることが多いのですが、それを理由に HTML での供給を拒むようなデザイナーには要注意です。Ruby であれ、PHP であれ、その他の何であれ、ブラウザが解釈するのは HTML がメインです。その基本がこなせていない人のデザインは今後発生するデザイン上のトラブルに対処できません。
デザイナーの本音としては、WordPress などのテーマを流用するだけなので、HTML での入稿まではやりたくないのかもしれませんが、WordPress のバージョンを上げた時の対応などができない人である可能性もあります。
HTML 以外の知識が乏しすぎるデザイナー
上の例とは真逆で、何でも HTML、CSS、JavaScript などですべて完成させてしまおうとするデザイナーにも注意です。現在の Web デザインでは、作成した HTML をいかに多言語に合わせるかという点もポイントになりますので、全くインタラクティブを望まないページを除けば、PHP や Ruby などの知識、SQL を書かざるを得なくなることがあります。
サイトに「IE に最適化されています」とやるデザイナー
昔はそういうのが普通にありました。しかも有名企業のウェブサイトに。
「このページは Internet Explorer 6.0 以上に最適化されています」とかいう文言を見たことがある人が多いと思います。デザインという面から見れば、この手の閲覧者制限(「見るならIEで見てくれ!」)は最悪です。これが嫌だから、お金を払ってデザインをお願いしているケースが多いことを忘れてもらっては困ります。クライアント側としては、特定の重要スクリプト(企業の採用エントリーページなど)を外注している場合など、やむを得ない場合として、今でも普通にあり得ます。
しかし、デザインとしては最悪であることには変わりなく、悪気もなく「Chrome もしくは Safari」などと利用者のブラウザ指定してくるデザイナーは、仕事を頼む相手としてはふさわしくありません。
番外編
デザインで使うエディタが変!?なデザイナー
昔は、Microsoft FrontPage や IBM ホームページビルダーといったツールが、誰でもウェブサイトを構築できるお手軽ソフトでした。ホームページビルダーはともかく、FrontPage や Word や excel で吐き出す HTML コードは汚すぎて、常識的なエンジニアやデザイナーはこの手のソフトを使いません。
この手のエディタを使いすぎるデザイナーは、まずプロではありえないので、報酬面でも再考が必要です。
具体的には、収められたページに醜いコードが残っていたりしたら、アウトです。
注文したウェブサイトを、検索エンジンに無料で登録してくれるデザイナー
注文者が自らそう望む特殊な場合を除けば、勝手に検索エンジンに登録されてありがとうという人は少数派です。意図しないインデックスで登録されてしまうと、サイトの顧客イメージが影響を与えます。デザイナーとしては全く余計なお世話をしていることになります。むしろ迷惑がられるのが普通ですので、何も説明せずにこのようなことをしてくるデザイナーは要注意です。
親戚家族のページを作ったことを誇りすぎるデザイナー
アマチュア時代は仕事があまりないのが普通ですが、そんな時代にすごい親戚家族、友達の友達のページを作ったことばかりを誇りすぎる人は要注意です(そのページが現在でも見ることができて、素晴らしいページだったとしても要注意です)。
ビジネスとしての Web ページ作成はクライアントの要求に合わせることであり、いつも以心伝心できる相手とは限りません。自分がよかれとして行ったことが、クライアント側には大迷惑だったということが普通にあります。まずは、全く知らない人の要求をどれくらいかみ砕いて、それに応えられるのかを確認してから採用するようにしましょう。
Flash アニメーションに頼ってきたデザイナー
かつて、Flash 全盛の時代が長く続いたので、HTML などの知識が緩くても、Flash だけで何でもできたものです。ところが、現在では Flash は忌み嫌われており、最近のブラウザでは Flash プラグインのサポートもされないのが普通になっています。Web デザインを任せるなら、普通にコードが書けるかどうかをまず確認してから採用(もしくは依頼)しましょう。
ウェブサイトに洒落たカウンターつけてくるデザイナー
クライアントが要求しない限り、そんなデザインを持ってくる人は避けた方がいいに決まっています。ウェブサイトを始めたばかりの人や、Web が使われ始めたころのレトロなデザインを狙うなどの特殊ケースを除いて、大半はアウトです。
サイトの負荷や、転送量を最悪なデザインのために消費するだけになります。