闇バイトのボスはシグナルがお好き
ルフィ事件で、最近のオレオレ詐欺や強盗犯などの犯罪者同士の通信には、Telegram(テレグラム)やSignal(シグナル)が活用されていることが明白になりました。
明らかになった情報は、闇バイトの応募者(実行犯)と募集者(指示役)との間ではTelegram(テレグラム)でやりとり。
闇バイトの元締め幹部と闇バイトマネージャー間ではSignal(シグナル)でやりとり。
闇系の実行犯と指示役とはTelegram(テレグラム)を使っていたことは、事件発覚後、すぐに情報がでました。
警察発表こそありませんでしたが、その時点で幹部連中の間では Signal(シグナル)も使われていたことも、取材記者レベルでは普通に情報を共有していました。
このことは知識量多めのネットユーザーの間では、報道を見るまでもなく当然だろうなという認識でした。
では、最近の凶悪犯罪の指示ツールにSNSが利用されるようになってしまった現状、捜査機関はこういった連中を取り締まることができるのでしょうか。
Telegram(テレグラム)やSignal(シグナル)がなぜ使われたか
当時、事件の一報で「メンバー間でSNSにはTelegram(テレグラム)を常用」と聞いたときは、悪いことするやつは抜かりがないなと思いました。
その後、少し時間をおいて闇バイト幹部間では Telegram(テレグラム)ではなくてSignal(シグナル)が使われたと聞き、なぜ使い分けているのか腑に落ちませんでした。
どうやら、幹部の間では Signal(シグナル)の方により信頼をおいていたきらいがありますが、私なりには Signal(シグナル)の方が使いやすかったからだと分析しています。
Telegram(テレグラム)は LINE 的なエンタメ要素が多く、ウザい情報やチャットが流れてくるので、幹部連中にはそれが嫌だったのではないかと思います。
指示役としては、実行犯が逮捕されたりしてスマホを押収されたりしても、消えるメッセージで連絡を取り合っていれば辿れられるリスクは少ないと判断したのでしょう。
犯罪者は LINE を使わないのか?
犯罪者幹部間では連中のスマホには Telegram(テレグラム)や Signal(シグナル)しかインストールされていないように報道されています。
しかし、闇バイトの実行役のスマホには LINE もしっかり入っていた(インストールされていた)ようです。
これは当然でしょう。スマホ詐欺などの犯行の際も LINE のアカウントまで盗まない限り、様々な悪さのための認証ができません。SIM スワップした時は LINE のアカウントハックから手を付けるはずです。
闇バイトでは当然のように LINE で集客され、 Telegram(テレグラム)や Signal(シグナル)に誘導されます。
悪党にとっては LINE はあくまで集客用、本当の闇の情報は LINE には流されません。
LINE の利用者数は大きく、そのうちのどれほどが情弱なのかを想像するだけで、悪党側からすればよだれの出るデータベースです。LINE はビジネスとして積極的に利用されているのが現実です。
ただし、LINEはどのように管理されているか詳細がわからないのが不安なところです。運営当初から韓国企業が片っ端からLINEで流れるキーワードをインディクス化していることは事実ですので、闇バイト関係のキーワードもサーバーにたくさん蓄積されているはずです。
そのため、関連キーワードを入力したとたん、システムから闇系とマークされてしまうというリスクを負いたくないのも理由の一つでしょう。
悪党が LINE と Signal(シグナル)の違いをヤバいヤバくない以上の分類で理解して使っているのかまでは分からないのですが、闇系の上層部に利用されているところを見ると情報漏洩が無いなどの信頼は LINE より高く勝ち取っているようです。
だから、幹部に昇進すると Signal(シグナル)メインになるのでしょうね。
まとめておきますが、犯罪者も当然 LINE を使います。ただ重要情報、逮捕の証拠になるよう情報は LINE では流さないということです(メッセージを消しても消えなかったり復活出来たら困りますからね)。
LINE は本当に安全ではないのか?
SIM スワップ(犯罪)などされたときは、LINE でも Telegram(テレグラム)でも Signal(シグナル)でもアカウントがそのまま乗っ取られますので、このケースではこれらの SNS ツールのリスクは変わりません。
そもそも、LINE は韓国のサーバーに通話内容が貯められているので、犯罪行為が発覚されたときは、サーバーの中身を調査できます。そういう捜査にソフトバンクが仮に協力しても、韓国側が協力するかどうかは未知数です(警察庁の話によると「協力が得られるものと確信している」だそうです)。

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シグナルの中身は覗けるのか
ロシアに亡命中のエドワード・スノーデン氏も Signal(シグナル)を常用しているので、Signal の安全性はある意味担保されていると思います。
スノーデン氏は、主に人の通信内容を探る職務についていた方ですので、スノーデン氏がどのアプリを信頼しているかは注目です。
通話やチャット内容を第三者が傍受するのは、怪しいスマホとOSを使わない限り難しいでしょう。
スマホのマイク入力が、電気的に本体と別系統で設計されているスマホや、ターゲットの部屋に、隠しカメラやマイクが仕掛けられている場合を除いて、通信のスニッフィングは難しそうです。
シグナルで誰とチャットしたかはわかるのか?
現在の段階では、シグナルユーザーの間では、誰とチャットしたかどうかを第三者が知るすべはありません。
サーバーをハックして、チャット相手を特定するということは、理屈の上からは可能ですが、その内容に関しては解読できません。
たまたま同時刻にスマホにメッセージが入り、その場面を防犯カメラが抑えた程度では、ユーザがシグナルを利用していた程度ぐらいしかわからないと思います。
つまり、チャットデータを傍受したとして、その送信先が誰に向けられたかまでは見当がつくかもしれませんが(現在のところこれにも成功していない)、データそのものが暗号化されているので第三者は利用できません。
シグナルでなりすましはできるのか?
ここで語るなりすましは、犯人のアカウント情報をハックして、自分のスマホなどに設定して、実行役に偽の指令をすることができるのかという意味です。
これが簡単にできるのなら、捜査機関の仕事は大幅に削減されます。もちろん、結論はまずできません。
犯人が特定されていて、犯人のスマホを押収できていて、シグナルのデータがアカウントとともに記されていない場合、犯人のデータを捜査員のスマホに移し替えることは可能です。
過去のチャット内容も、押収スマホに残っている限り、そのチャット内容は裁判上の証拠にもなりえます、
逆を言えば、押収スマホにデータが残っていない限り、チャットの中身は覗けないということです。
メッセージを隠したつもりの盲点
Telegram(テレグラム)やSignal(シグナル)はメッセージを送って、そのメッセージを削除する場合、送った相手先のメッセージも削除するか、自分のスマホのメッセージだけ削除するか選べます。
ヤバいメッセージを送った後も、何とか出来てしまうのがこのメッセージアプリですが、メッセージはスクリーンショットして画像ファイルとして残すことはできます。
このスクリーンショットは裁判上の証拠になるのでしょうか?
捜査機関が提出した証拠がスクリーンショットのみの場合、さすがに証拠能力は少ないと思います。普通は他の証拠と関連付けて証拠にしますので、スクリーンショットは証拠になる可能性があります。
でも、捜査機関としては、スクリーンショットは裏付け捜査のためのネタとして使うのが主ですので、スクリーンショットの活用の仕方が違うと思います。
捜査機関の苦悩
具体的には警視庁ネタですが、犯罪者がLINEでやり取りでもしてくれない限り、SNSでの指示を物証として利用できないようです。
Signal や Telegram は送信受信メッセージをサーバーに残さないので、捜査機関がアカウントを抑えた程度では中身がありません。
捜査機関は送受信のスマホもセットで押収し、犯人の身柄も確保する必要が出てきます。身柄を抑えた上で、捜査員の目の前でSNSで犯人同士をコンタクトさせれば、有罪にできる証拠になりそうですね。
しかし、犯罪者がスマホを簡単に押収させてくれるわけがありません。
スマホを押収しても、肝心のメッセージが消えてしまっている場合は、これまた証拠採用が難しくなります。無理やり、メッセージのスクリーンショットなどでゴリ押しするしかなさそうですが、裁判官を納得させるためには、その他の物証がさらに重要になります。
残念なのは、最近の「闇バイト」犯罪は、SNSの通信記録しかまともな証拠がないケースが多いことです。
Signal のチャットは押収できるのか?
参議院議員の青山繁晴氏が、参議院議員という立場で警察庁のしかるべき立場の人に質問してくれました。
青山繁晴参議院議員:「闇バイトではLINEみたいなせこいものではなくてSignalが使われているが、実際の闇バイトで指示役のSignalのチャット記録は押収できたのか?」
警察庁:「犯罪者同士がSignalを使ったとしても、受信者(実行犯)のスマホも押収できれば、指示役(発信者)の犯罪内容も抑えられます」
警察庁としては、犯罪者は捕まえるという姿勢だと思いますが、そもそも受信者のスマホを押収できない限り指示役の指示内容は抑えられないって、つまるところ犯罪者に Signal を使われたら、手が出せないって意味に聞こえます。
質問の内容からして、サーバー間の通信を傍受できるかどうかを聞いているのだと思うのですが、そんなことできるのは LINE ぐらいしかなく、海外の実例からして FBI ですら Signal も Telegram も通信内容を傍受することに成功していません。少なくとも裁判の証拠になっていません。
この回答をよく分析すると、消えたメッセージが復活できるわけではなく、送信者がメッセージを消したとしても受信者のスマホに残っていれば、もしくはスクリーンショットなどで残していれば指示内容を抑えられて、犯人逮捕の手掛かりにできるという意味です。
スクリーンショットだけで裁判の証拠にできるのかまでは言及がなかったそうですが、実際には複数の犯行を合わせて立件すると思うので、あまり問題にならないのかもしれません。
警察庁の回答は、Signal で普通にチャットしていた場合のケースで、犯罪者同士がシークレットチャットか消えるメッセージを使ってやり取りをしていた場合、受信側のスマホを押収したところで、スクリーンショットみたいなものでも残ってない限り、情報は抜けないという意味だと考えられます。
SNS利用犯罪のキモは闇バイト
昔の仁義なき戦いの時代の犯罪なら、警察組織も対抗の方法があったのですが、鉄砲を撃つ輩を闇バイトで集められると、捜査機関の手間は倍増します。
闇バイト募集といっても、少し昔はオニオンネットワークなどの、闇といってもある程度の手間暇かけたアクセスが必要なコンタクトが必要でしたが、今はSNSが悪用されています。
最近のヤバさは、多少日本語が使える外国人を実行役に使う連中が増えている点です。こういう輩のスマホを押収しても、捜査機関としては例えばメモ書きがアラビア語、ベトナム語などの場合は隠語を確認したり手間は計り知れません。圧倒的に人材と人数不足です。外国人犯罪者に次々に無罪判決が出ているのも、日本人犯罪者に比べて証拠固めに手間取っていることも一員です。防犯カメラでモロバレしている外国人が、あれは他の外国人だとすっとぼけれることなんて普通にあります。
ツイッター(現:X)やフェイスブックでよくやらかしている誹謗中傷なんて、捜査関係者は相手にしてません。現に捜査機関は、日本だけでなく世界の機関は、SNSのアカウント作成に本人確認を求めるような、銀行口座作成するのと同じくらいの手間をかけるような指導をしつつあります。ネットを知っている人からはありえない話ですが、捜査機関も困っているわけですね。
闇バイトは、多くはオニオンネットワークなどを利用して募集がされます。
募集媒体は何でもいいのですが、実際には犯罪行為に手をかける人物を募集するわけですから、それなりの露出がないと募集できません。犯罪行為を実行できる人物をスカウトするわけですから、普通の素人のスカウターができるわけもなく、どこのネットワークで募集をかけてもまともな応募人員が集まるわけありません。
闇バイトの指示役が狙うこと
闇バイトの指示役の狙いは、実行役に悪いことさせて収益をかすめ取ることです。その際、実行役が逮捕されても指示役にまで捜査の手が及ばないようにすることに細心の注意を払っています。
これはネット社会のダークサイドですが、現在では上のようなことがまかり通るようになっています。
ただ、愉快犯には捜査員も手が出せないかと思うのですが、具体的な被害額が発生すると組織全体で本機モードになるので、悪党は捕まると思います。
日本国内でも、頭のいい捜査員は数多くいます、自衛官もいます、そして海外の捜査組織とも協力関係にありますので、悪党はネットに繋げた瞬間にモロバレするぐらいの時代がすぐやってきます(もうやってきているかも)。
SNSの具体的には何が問題なのか?
LINEでアカウントなどを作ったことがある人には説明無用ですが、SNSは電話番号と結び付けられることが多いです。
その他、多くのSNSでアカウントを作るには、電話番号認証などが必要なため、闇バイトを活用しようと考える人は、まず、電話番号が紐づいたSIMカードを手に入れる必要があります。
現在、国際的に使い捨てSIMカードでも、購入時に身元確認されることが普通です。海外でSIMを購入したい方もパスポートのコピーを提出しない限り、買えないケースが多いです。そのため、SIMカードそのものを盗難品から賄うくらいの犯罪者でないと、この手の犯罪にIT素人が手を出すのは危険です。
東南アジアやフィリピンあたりで、SIMを購入して闇バイト雇おうなんて考える人は浅はかすぎますので、甘い考えは捨てることをおすすめします。
(そういう外国人沢山逮捕されています)
最後に 私見
上で述べてきた犯罪者は、ほとんどのカモがLINEなどのSNSに中毒していることを熟知しています。
一昔前のように、詐欺メールでカモる方法は現在では下火になっています。
第三者が直接SNSの通信傍受することは、たとえLINEであっても難しいです。
NTT や KDDI などの通信会社が協力したくらいでは、通信していることは分かっても内容までは分かりません。
その事を犯罪者は熟知しているので、SNSを活用している面もあります。
一方、比較的ネット中堅世代(30代後半から60代まで)はメールもよく使うので、重要なデータは意外とメールから漏れているケースがよくあります。
そもそも皆さんGMailを使うかと思いますが、メール内容のキーワードはGoogleがインディックス化して保存していますからね。
GMailは危なくないものですが、ハッカー、クラッカーも日夜セキュリティホールを研究していますので、今後も安全とは言い切れません。
家に引き込んだファイバーケーブルに繋げて通信する分には、日本国内では安全度は高いのですが、国外での通信や、国内でも無料Wi-Fiに繋げる場合は安全ではないと心得ておくべきです。
現状ではSignalやTelegramでなくてもLINEでもほぼほぼ通信の秘密は守られているとは思います(筆者はSignalをお奨めします)。
スマホでもPCでもテレワークの際の接続先確認などには、セキュリティもへったくれもない接続がされますので、そういう部分にも気を使うなら VPN を使ってください。
商用 VPN を使えば、PC・スマホからの情報を含まない何気ないネット通信も暗号化されますから、油断した通信をした時でもデータ漏洩や身バレのリスクが減ります。
特に海外から日本のネットバンクにアクセスする気などは、VPNを通さずに行いのは自殺行為です。



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