VPS(仮想専用サーバー)サービスをどの観点から選ぶかというコツはたくさんあると思いますが、本ページでは主としてサービス価格から調査してみました。
主としてサービス価格に着目している分析であるため、予算が青天井の方などにはあまり役に立たないページになるかもしれません。その一方、予算的制約に大きく縛られる方にはお役に立てると思います。
上の図は、点が大きいほど CPU のコアが多くなりますので、並列処理に優位だとされます。
サービスを提供する会社として、今回選んだのは以下の、どちらも有名所の定番会社です。
選んだVPS会社リスト
Xserver VPS については、2023年1月24の正午まで行われるキャンペーン価格で掲載しています。
レンサバで有名な mixhostにもVPSサービスがありますが、現在申し込み停止中ですので、このページではリストから外しています。
VPS とレンタルサーバーの違いをさっと復習
VPS (Virtual Private Server) と普通の共用サーバー(レンタルサーバー、レンサバ)は共通点も多いのですが、VPS では管理者(契約者)はサーバーまるまるを独立した自分だけの専用マシンのように使える点が、VPSの最大の特徴で同時にメリットになります。
通常のレンサバでは、一つのサーバー(物理・仮想を問わない)の中に一つのアカウントを発行してもらって、次に WordPress などを利用(インストール・設定)するということになりますが、VPSの場合はサーバーで動かすOSそのものをインストールし(つまり選び)、管理者(rootやadministratorなど)権限で設定できて、作業ができます。つまり、OSさえ設定してしまえば、その管理者権限を利用して、自分の好きなアプリ(やサービスやデーモン)をインストールして動かすことができるということです。突き詰めれば、自作(開発)のWebサーバーを動かしたり、自前のプログラム言語(CやPascalを真似た自作言語など)でコードを実行したりすることも可能です。
今回、分析の対象としたサービスの最大価格は、月額で7万円以下に収まります。もしツイッターと同じレベルのサービス開始を目論んでいる方には、ちょっと役不足かもしれません。その場合は、料金面には注意する必要がありますが AWS あたりを検討してみるのがいいでしょう。同じく仮想化技術を使うサービスである AWS は課金単位がサービス利用量ベースであるという点と、後々のリソースの増減に対応しているという点が VPS と大きく違う点であり、毎月額料金が最終的にどうなるかを見極めにくいのが、予算の限られた初心者には少し躊躇させてしまう点です。
VPS 各社でLinux(UNIX)版とWindows版、どちらを選ぶかが、初心者はまず迷う点かもしれません。UNIX嫌いの初心者は Windows 版を契約したくなるかもしれませんが、同スペックだと価格的には Windows 版の方が高額になります。要求されるリソースやライセンスが Linux よりも高額になるからです。FX 専用 VPS として使いたい、Visual C++ 等のコードを動かしたいのであれば、Windows 版を契約しないと話になりませんが、そうでないなら Linux 版の方がコスト的には有利です(おそらく、パフォーマンス的にも有利です)。
サービス価格に注目して、VPS をチェック
冒頭に示したVPSのサービスを、サービス価格ベースで比較してみます。
CPU のコア数からみるサービス価格
冒頭のチャートと違い、本チャートではプロット点の大きさは初期費用額と連動しています。チャートではコア数は1から最大で24です。24コア使うとなると、Conoha VPSの64GBプランを選ぶ必要がありますが、それぞれ月額でLinux 版で53,900円、Windows版で65,780円なります。この2つのサービスは、チャートには入れていません。CPUのコア数に比例して月額料金も増えています。これは感覚的にそうだろうなと、誰もが思う結論ですね。
点は小さいほど、初期登録費用が少なくて済むという意味です。チャートを見れば一目瞭然ですが、「お名前.com VPS」は月額料金は安く抑えられていますが、初期費用がはじめに必要なことがわかります。
ちょっとたビジネス用途を含む利用、アクセス数が多いサイト運営になる場合は、コア数の多いVPSサービスの方が有利です。目安としては6コアをベースに、用途を検討して選ぶのが良いと思います。
当サイトの独断でおすすめするのは、以下の通り。
- 6コアがどうしても必要、予算は月額一万円と少しまでなら、さくらのVPS
- 6コアがどうしても必要、予算はとにかく抑えるなら
、WebARENA Indigo、Xserver VPS
Xserver VPS が現在キャンペーン中ですので、こちらが圧倒的におすすめです。6コア(メモリは16GB)で月額が現在 1,600円ですので、破格に安くなっています(ただし、36ヶ月契約が必要)。
他社VPSを凌駕する圧倒的性能!VPSサーバー『シン・VPS』
さくらのVPSは「最低3ヶ月利用期間が必要」と、一ヶ月で使い捨て利用はできません。多くの方は、さほどこの点はネックにはならないと思います。おすすめできる点としては「リージョンを自由に選択できる」、安定性は折り紙付き(私だけでなく、口コミでも悪い評判はあまり見ない)、無料お試し期間がある点です。
「WebARENA Indigo」はNTT系列のVPSです。実測値はともかく、回線速度は最大1Gbpsとうたっています。料金プラン1GB(月額349円)、2GBプラン(月額699円 )は人気で、売り切れになることが普通にあります。
低価格プランで、デメリットと言うか、評判が比較的良くないのが、1Gbps最大値が出ることはまずない、実測はその三分の一程度(平均)と、あくまでも無難な速度に落ち着きます。「WebARENA Indigo」も月額2,798円の8GB(6コア)プラン以上のほうが、顧客満足度は高いです。
注意:この中では、アダルトサイトを運営したい人は上のセレクト結果に関わらず「GMO クラウドVPS」しか選択肢がありません。Xserver VPS も風俗店やアダルトグッズを取り扱うコンテンツ、同人系コンテンツ程度は許容範囲ですが、性行為を連想される描写がある、連想される内容であればアウトになります。
ディスク容量からみるサービス価格1万円以下のVPS
ビジネス運用するなら、月額料金をケチりすぎると、アクセス過多でさばききれずにサーバーが沈んだ時、肝心のビジネスの信頼が失われかねないのがネックです。一方で、大して利益も出せていない、個人レベルで運用するだけなら、月額料金は低いほうがありがたいという、誰もが直面する現実があります。以下に示すチャートは、各VPS会社の提供プランの価格とそのプランのディスク容量をプロットしたものです。
図には、Linux版もWindows版も混ぜています。
図は冒頭のチャートで、11,000円以下の部分を拡大したものです。チャートから傾向を読み取ると、2,200円以下は初めてのユーザーを取り込みを狙った激戦ゾーンです。一方で、一万円以下(かつ4,000円以上)で提供されるサービスは、まだ各社の個性が出ています。
点が大きく、左下に寄るほどコスパが優れるということにはなりますが、そんなに都合の良いサービスはそうそう有りません。月額8,000円から10,000円ほどを覚悟すれば、例えばCPUコアも多め、ディスク容量も大きめのサービスが選べます。
図の真ん中と右端に位置する、「お名前.com VPS」は価格(4,065円、8,255円)の割にディスク容量も大きく(400GB、800GB)、CPUコア数も4つ(6つ)とコスパに優れますが、初期費用が5,951円(10,142円)必要です。数年に渡って利用するのであれば、この程度であればトータルではそこまでの出費にはなりません。例えば、「お名前.com VPS」を3年間使い続けるなら、初期費用を3年間で散らすとして、月額300円増しで考えるといいわけです。
上のチャートでは、その程度の増減では全体の評価に「Conoha VPS」が他のGMO系列と比べて、ディスク容量も少なめ100GBで、月額料金が高くストも高く感じますが、初期設定料金が無料ですので、利用期間によってはこちらに軍配が上がることもあります。
1万円以下(ただし2,200円以上)で、ディスク容量は100GBで十分だという人は、「Conoha VPS」を選ぶと間違いがありません。チャートでは、ディスク容量で分けているので、他のスペックを意識したコスパの良さは読み取れないのですが、100GB縛りのストレージさえ受け入れれば、月額料金は1万円以下、月額3,608円のプランでもCPU4コア、メモリ4GBと、スペックを勘案すれば、アプリのテンプレートが豊富である点、管理画面の使いやすさなど、後発だけに中身のコスパが優れます。Minecraft などのゲーム鯖をたてるときも、クリック一発で大半の設定が終わるので、トータルバランスとしては優れています。
以上を踏まえても、現在の Xserver VPS のキャンペーンを考慮すると、Xserver VPS の方がお得です。 2023年1月24日の12:00までは、36ヶ月契約が前提になりますが、NVMe SSD のストレージ 100GB、CPU4コア、メモリ 4GB なら 850円、CPU6コア、メモリ 8GB なら 1,600円、CPU8コア、メモリ 16GB なら 3,600円 と破格になっています。
他社VPSを凌駕する圧倒的性能!VPSサーバー『シン・VPS』
一方、ゲームより自動売買FXなどをやりたい方は「お名前.com VPS」の方が、実績もあり、なにより24時間365日の電話サポートが利用できます。真夜中にトラブル遭遇しても、メール・チャットなどのチマチマしたことせずに、直接電話サポートに聞けるのが「Conoha VPS」との違いで、最大のポイントです。FXからみでVPSを考えている人は「FXのMT4専用プラン」を検討しましょう。
お名前.com VPS
ディスク容量からみるサービス価格1,500円以下のLinux VPS
多くの人は、月額料金は抑えたいと思うものです。実際、VPSは使ってみて、自分の動かしたいアプリやらデーモンやら、設定などなどが本当に理想的に動くかどうかは、やってみるまでわかりません。うまく行かなければ、自分でコードを書き換えるか、アプリの構成を変えるかなど試行錯誤してみる必要があります。
2023年1月24日の12:00までは、現在の Xserver VPS のキャンペーンを利用する方がお得です。36ヶ月契約が前提になりますが、NVMe SSD のストレージ 50GB、CPU3コア、メモリ 2GB で 414円になります。
他社VPSを凌駕する圧倒的性能!VPSサーバー『シン・VPS』
「ServersMan@VPS」は在庫切れになっていなければ、優先的に検討すべきでしょう。サーバーのスペックに少々不安を覚えるかもしれませんが、小規模アプリの実働レベルでは問題を感じないというのが感想です。その他では、この価格帯では、「さくらのVPS」が快適だという実感があります。ディスク容量を後から増やすつもりなら「ServersMan@VPS」、そうでなければ「さくらのVPS」を検討するという順番がおすすめです。
また、とにかく安くVPSを始めたいという人は「WebARENA Indigo」、「ServersMan@VPS」という順番で検討しましょう。どちらも低価格プランは人気があり、人数制限もあるので売り切れ中になっていることが普通にあります。
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Xserver VPS
圧倒的性能を誇る「シン」世代のVPS『シン・VPS』
2023年1月24の正午まで行われるキャンペーン価格がぶっ飛んでいるので、興味のある方はご利用されることをおすすめします。
エックスサーバー VPS で利用可能な OS は Windows を除く主要 OS を抑えているという感じです。
もちろん、ゲームサーバーとしても利用可能で、代表的なものには「Minecraft Java版」、「Minecraft 統合版など」は設定がマニュアル化されているので簡単です。
対応するアプリは、WordPress(KUSANAGI)、LAMP、Redmine、CentOS、Ubuntu をはじめ、目的に合わせて、さまざまなOS・アプリケーションイメージを利用可能です。
ポイント
- 国内最大級のバックボーン回線に10Gbpsで直結
- CPUには第3世代「AMD EPYC(TM)」(コードネーム「Milan」)を採用
- ストレージに高速インターフェース「NVMe(エヌブイエムイー)」を採用
- NVMe ストライピング構成で、高速なサーバー環境
国内シェア一位のレンタルサーバー『エックスサーバー』の VPS サービス。
サーバー管理者権限(root権限)が付与され、アプリケーション開発、Minecraft用サーバー構築、サイトやブログの制作など、サーバーを使い倒すことが可能。
本来は、高度な技術が要求される VPS 設定ですが、比較的設定は優しめに思います。
ServersMan@VPS
ServersMan@VPS
ポイント
- 月払いなのでvpsの追加・削除が柔軟にできる
- 上位プランへの乗り換えができる
DTI 系列なので、むやみやたらに一つの VM に多人数を押し込んでコストを浮かせるような真似はしないという点は、信頼できます。
ユーザーは初めに納得したスペックでサーバー運用を意識すればよいので、知らない間にサーバーが重くなっているなんてことはないはずです。
ストレージは25GBずつ増やすことができます(月額料金は100円増し)。ただし、現在はサーバーのスペックを維持するため、追加購入できなくなっています(一時的なものだと思われます)。なお、ストレージ(ディスク容量)はHDDのようです。使用してみた感じでは、速度が遅いとはじませんでした。2023年度以降もこのままのスペックで移行すると、他社の後塵を拝するかもしれませんので、利用者は積極的にカスタマーサポートに意見しておきましょう。
個人利用では、月額料金とキモを抑えたスペックが魅力的なVPSが「ServersMan@VPS」です。一般的な講評サイトでは無視されているときもありますが、それにはちょっとした理由があります。まず、素人は「安かろう悪かろう」という印象を持ってしまうこと。そして、ストレージのタイプや提供CPUコア数など、非公表の部分がある点でしょう。一方で、少し知識がある方は、DTIが運営しているため、たとえ非公表スペックが少しあろうと問題なさそうという判断をします。
当サイトの見解も後者で、非公表スペックがあるのは「柔軟にスペックアップを対応する」という意味だと捉えています。というのも、過去にもハードウェアのアップグレードが一斉にはかられて、全体として VPS のパフォーマンスがアップしたということが普通にあったからです。そのため、昔からDTI系列は実測と公表スペックが良い意味で一致しない事が多いです。ServersMan@VPSはどうSSDでなく、いまだにHDDを使用しているっぽいのですが、WordPress程度なら、SSD使用で実載CPUスペックも優れるさくらのVPSより、表示速度は早いことがあるなどが挙げられます(チューニングが決まっているということになる)。つまり、下品に表現すれば「ポロッ地ちい車なのに、壊れずによく走る、しかも安い」って感じですね。10月現在(2021年)では月額1,000クラスのサービスで考えるなら、さくらのVPSよりも早いとまでは断言できるデータが取れていないので(少なくとも常時、さくらより速いわけではない)、PetitかEntryプランなら、おすすめ。Standardプランなら、競合他者と比較して決めるという感じでしょうか。個人的には、さくらのVPSとどちらを取るか考えるところです。
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